86歳男性
#廃用症候群#外傷性くも膜下出血後#高血圧
施設入居中
「くも膜下血腫後のADL低下に伴い、施設に入居している
コミュニケーションは概ねとれるが、認知機能障害も相まって、簡単なやりとりに限られる
身体的には安定しており、食事摂取も可能であるが、夜間のコールが頻回にみられるようになった
訴えを汲み取ることは疎通性の問題からなかなかかなわないものの、頻コールが止むことはなく、頭蓋内精査を進めるも本人・家族は施設での看取りを希望し、精神科コンサルトとなった
診察時は穏やかであるが、夜間のコールについて尋ねると
『天井が落ちてくる』との訴えを聞き取ることができたため、抑肝散を開始したところ、夜間の入眠が得られるとともに、天井が落ちてくるとの訴えはなくなった
経過中に胃部不快感の訴えがあったため、抑肝散を抑肝散加陳皮半夏に変更したところ消失したため、処方継続とし、内科に電解質の定期フォローを依頼している」
原因の特定のための頭蓋内精査は推奨されるものの、施設や在宅での看取りを希望する場合、無理に病院に連れて行くことがかなわないことは少なくありません
果たして原因を特定して治療ができるのか、治療をしたとしても100%治ることは保証されておらず、最悪病院でそのまま変調をきたしてそこでの看取りとなることも稀ではなく、一定期間が経つと退院を迫られるなどら徒労に終わる可能性を告げられる場合もあり、施設入居中の利用者の医療問題については家族様も悩まれることが多くあります
このケースのように原因を特定せず、対症療法的にアプローチする時はできるだけ本人への負担が少ない処方を選択します
天井が落ちてくるとの訴えは幻視によるものが考えられます
幻視には、抑肝散などの漢方や、メマンチン、抗精神病薬などが有効であることが多いですが、鎮静などの副作用が少ない薬からトライするのが無難です
抑肝散は甘草(カンゾウ)という生薬の成分を含むため、定期的なカリウムのチェックが必要なほか、胃部不快感の副作用があり、抑肝散加陳皮半夏にするとその副作用が軽減することがありますので、ぜひお試しください
