73歳男性
#統合失調症
レボメプロマジン50mg
リスペリドン4mg
ビペリデン4mg
ゾルピデム10mg
エスタゾラム4mg
「統合失調症で度重なる入退院を繰り返し、最終入院では20年近く精神科病院の療養病棟で過ごしていた
家族や本人の希望もあり、退院後に施設に入居。入居日、前額部がガーゼ保護された状態であった
入居直後から歩行障害があり、徘徊・転倒、頭部打撲を繰り返していた。夜間だけでも入眠を図るため内服を調整したが、拒薬もみられ手をつけられず、精神科にコンサルト
初診時は表情は固い上、変化に乏しく、涎を垂らしていた。歩行は小刻みであり、手の震え、関節の拘縮ではなく強剛を認めるなど、典型的な錐体外路症状を認めていたが、幻覚妄想を抑えるのに前医からの処方が続けられていたとのこと
薬剤調整にあたり、精神科訪問看護指示を出し、入院と同じクオリティでは行えないものの、症状観察の機会を増やすための体制整備を行った
まずは定型抗精神病薬であるレボメプロマジンを週ごとの半減を目安に漸減しつつ、拒薬もあることから持効性注射の導入もみすえ、アリピプラゾールを開始、18mgまで増量
レボメプロマジンを中止しても幻覚妄想は再燃しなかった一方で、錐体外路症状は残存したためリスペリドンを2mgまで減量し、軽減がみられたところでアリピプラゾール持効性注射を開始
情動面も安定しており、リスペリドン、エスタゾラムも漸減の上、中止することができた
小刻み歩行はみられず、現在は会話もスムーズにできるようになった」
統合失調症の幻覚妄想など陽性症状は慢性に持続することは稀ではないものの、年齢変化によって向精神薬の副作用は出やすくなります
定型抗精神病薬を一貫して否定するつもりはなく、その鎮静作用や効果発現の早さから使い勝手の良さもあり、ベテランの精神科医で愛用されるのに十分な理由もあります
しかしながら、錐体外路症状の副作用が出やすいことは使用上、十分注意が必要で、特に高齢者の場合、転倒リスクが高まります
また、漫然とした使用は抗コリン作用による腸閉塞の原因となる巨大結腸症を引き起こすこともあります
アドヒアランス不良、つまり内服への理解が乏しい患者に持効性注射剤(以降、LAI; long Acting Inbjection)を用いることが一般的な認識かもしれませんが、実際はそうではなく、内服に対する嫌悪などがある患者にもLAIは有効です
精神科病院からの施設移行でよくみられる、統合失調症の患者の定型抗精神病薬による錐体外路症状、転倒のハイリスク患者
薬剤の切り替えもリエゾン精神科医の仕事の1つです
十分な症状評価の元、悪性症候群を引き起こさないよう行うために訪問看護の活用も選択肢の1つです
